春の夢 22

back  next  top  Novels


 ケンはそんなアレクセイの言葉を無視するように、ポツリと言う。
「ミレイユとマイケル、またもめてたな。うまくいってないのかな」
「話をそらしやがって」
「あいつらのは真剣な恋愛問題なんだぜ」
「俺だと何で真剣じゃないんだ?」
 そう言われるとケンも言葉につまる。
「そんなことは言ってないが…そう見えないだけだ」
「言ってるのと同じじゃないか。聞くけど、お前、相手が男だったら、真面目な恋愛なんかできないか?」
 ケンはややあってから口を開いた。
「いや……そんなことは思わないよ。少なくとも真面目な恋愛感情は存在すると思うよ。昔さ……」
「何だよ、言いかけて。昔、どうしたんだよ」
 アレクセイはまた黙ってしまったケンを促した。
「昔ったって、コマンドに入る二年前だ、ウイーンに留学した。W大の数学のマイヤー教授のとこに下宿してて、教授もよくしてくれたし、息子のウォルフとは随分仲良くなって、いつも俺の部屋にきてた。あの頃ウォルフは十一才くらいで、スキーがうまかった。俺がニューヨークに帰る時、絶対会いにいくからって泣いて、可愛いガキだった」


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ