春の夢 23

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 アレクセイは黙ってケンの話を聞いていた。
「それから二度ウイーンに行った。ウォルフは会うたびでかくなって、去年ウイーンに行った時は、彼は次のオリンピックのメンバー候補に入っていて、相当期待されているようだった。調度シーズン中でウォルフは練習に行ってて会えないだろうと思った。それが慌てて戻ってきてくれて、久しぶりに話している時だった。彼は俺に好きだって言ったんだ。恋愛対象として付き合いたいって。俺はびっくりした。ところがそれを彼の母親が聞いていて教授に伝えたらしく、教授が飛んできた。『君たちはそういう関係なのか?』ってすごい顔で聞くんだ。ウォルフは本気だって言った。しかし俺は何とも返答のしようがなくて、そのまま逃げ帰ってきちまった」
 ケンは大きく溜息をついた。
「なるほど、それでそのウォルフとは?」
「会ってはいない。電話が来たが。両親は怒ってたって言った。当たり前だ、まだ十四くらいのガキを男が誑かしたとなりゃ、普通の親なら…と思うぜ」
「だから、俺に忠告したってわけか」
 アレクセイは笑った。
「お前は実行犯だからな。俺とは違う」
 ケンは断言する。
「そういう問題じゃないだろう?」
「真面目なガキだからな、ウォルフは。一本気で。だからあいつがふざけてそんなことを言うとは思えないんだ。真剣だったんだろう、彼なりに。それを、ちゃんと断るとか、もっとうまく言うとか、そんなこともできないで、いい大人が逃げ帰ってきちまったんだもんな。きっとあいつ傷ついたんじゃないかって、あとで後悔した」


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