春の夢 24

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 一言一言、確かめるようにケンは話す。
「お前の気持ちはどうなんだ? 電話で何て言ったんだ」
「ああ? そりゃ、可愛い友達だと思ってるさ。しかし恋愛対象としてと言われてもな…そのとおりをいってやったよ。そのうちきっと可愛い恋人が見つかるよって」
「フウン……で、例の、マダムとはどうなんだ? そっちは真面目な恋愛関係か?」
 それを聞くと、ケンは驚いて顔を上げる。
「何で知ってる?」
「そりゃ、マダムはニューヨークの社交界じゃ有名人じゃないか。雑誌社二つを切り回しているやり手の才媛。旦那とは離婚訴訟中。子供が一人。キャロル・ワイルダー」
「彼女と始めてあったのは、もう随分前、まだ親父が死ぬ前で、娘のミリアムの家庭教師をしてたときだ。ミリアムは七才だったかな。でもそれからずっとそんな親しくしたことなんかなかったんだ。彼女はあくまでもミリアムの母親だったし。それが半年前、偶然出くわして」
 仕方なく、ケンは白状し始めた。
「で、真剣な恋愛に発展したわけか?」
「いや、そうじゃなくてさ…」
「何だよ、煮え切らない奴だな」
「お前と違って、そう簡単に恋愛だ何だって割り切れないもんがあるんだよ!」
 ケンはムッとしてアレクセイを睨む。
「しかし、寝てるんだろ?」
「…た、だ。……彼女とは、たぶん、お互いが淋しいってだけだったんじゃないかと思う。ここんとこは強調しとくが、決して遊びじゃなかった。俺も彼女も」
「要するに、旦那と別れたばかりで夜が淋しい女に可愛がられたわけか。お前ならわかるよペットみたく」
「そんな…」


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