春の夢 31

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 少なからず恩を受けているスターリングの言葉は、アレクセイにとって説得力があった。
「国家的なというだけではない、地球的な意味を持つプロジェクトを抱えている宇宙局としては、そういった重要なプロジェクトのポジションに君を置くことを検討しなければならなくなる。よく考えてみてくれ」
 局長室を出ると、アレクセイは大きく息をついた。
 その話をケンにすると、ケンはゲラゲラ笑った。
「みろよ、後ろめたいことがあると、余計な心配するじゃないか」
「ひとごとだと思いやがって…しかし…どうするかな…再三、ハンスからは誘われているんだが…」
「そんなものは簡単だろ? お前が科学者としてここに残るか、レーサーとして出て行くか、二つに一つじゃないか」
 こともなげにケンは言う。
「きさま、やっぱりひとごとだと思ってんな?」
「ハハ…ひとごとだぜ?」
「このやろー…」
 アレクセイはケンの首を軽く絞める。
「離せよ。大体だ、どっちも取ろうなんざ、ムシがよすぎるんだよ」
「そう言うお前は弁護士っていう肩書きも持ってるじゃないか」
「弁護士とレーサーじゃ、全く時限が違う」
 ケンはきっぱりと言いきった。
「レーサーよりずっとコマンドの方が危険度が大きいぜ、きっと。局長の言うのは、要するに、どうせ死ぬんなら、コマンドで殉死しろとこういうことじゃないか?」


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