春の夢 32

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 ニヤニヤしながらそう言うケンをアレクセイは軽く睨む。
「きさまがそういうやつだったってことは、よく覚えとくぜ。バッキャロ」
 休憩室で戯れている二人の横を通り過ぎる冷たい視線に、アレクセイは気づいてその後ろ姿を目で追った。
 以前からカテリーナの態度は、思い過しでなくアレクセイに対して冷たく、きついように思われた。
 自分がロジァを連れ回しているのがやはり気に入らないのだろう。
 そしてどうやらロジァも、今までにも増して冷ややかである。
 アレクセイはここのところ放っているせいかも知れないとも思う。
 ご機嫌を取らねば、ロジァはむくれているだけだろう。
 そう考えた時、ケンの言葉が頭に浮かぶ。
「まだ十六の、坊やなんだぜ? しかも、局長の息子で」
「あんた、ロジァなんかつけ回して何が面白いんだよ!! もう、放っとけよ!! ロジァに構うなよ!!」
 極めつけ、いつぞやスターリング家を訪れたアレクセイは、ロジァの弟ティムに怒鳴りつけられた。
 どうやら俺は、非常に歓迎されないことばかりをやってるのかもな…
 スターリングに呼ばれた時、ヒヤリとしたのも事実だ。
 遊びたいのなら、わざわざ危ない橋を渡るようなマネをしなくても…。
 それはその通りだ。
 遊びたいのなら。
 アレクセイはガラにもなく、大きく息をつく。
 いつになく沈みがちな自分をもてあましていた。


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