春の夢 37

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 ふと、アレクセイは、カテリーナは無言でミレイユと同じことを言っているような気がした。
 ロジァを取らないで…と。
 店を出てからタクシーを拾い、アレクセイはミレイユを彼女の部屋まで送った。
 ミレイユはコーヒーくらい飲んでいってと、アレクセイを中に入れた。
 彼女のいれたコーヒーは美味かった。
 アレクセイは、俺なんかを部屋に入れて、マイケルが怒るんじゃないのか? と言ったが、ミレイユは、平気よ、別にやましいことがあるわけじゃないもの、と彼を送り出した。
 
 
 ところが翌日、そのアレクセイの危惧が大当たりした。
 朝、ボックスで顔を合わせたばかりだった。
 マイケルはアレクセイが来たのを見て立ち上がると、いきなり彼を殴り倒したのである。
 幸か不幸か、アレクセイは咄嗟に少し避けたので、その殺人パンチをまともに受けることはなかったものの、口を切ってひどく出血した。
「どういう理由かも言わずに殴るわけか?」
 やおら立ち上がりながら、アレクセイは訊ねた。
「そんなものは自分の胸に聞いてみろ!!」
 他の皆は突然の出来ごとにびっくりしたが、アレクセイは、
「医務室に行ってきます」
 とそのまま出て行った。
「一体、何だって言うのよ!!」


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