ミレイユが叫んだ。
「じゃあ、何で、アレクセイが君の部屋から出てくるんだよ。偶然にも通り掛かったんだ」
マイケルが言った。
「あれは私が彼にコーヒーをすすめただけよ!」
ミレイユが言い返す。
「コーヒーをすすめたとは、言い方もあるもんだな」
マイケルも怒鳴る。
「俺が辞めりゃいいんだろ? 罪人は俺」
アレクセイは露悪的な台詞を吐く。
「こんなわからず屋のために、何であなたが辞めることがあるのよ!」
ミレイユはアレクセイに向って喚いた。
「そうか、やっぱりこいつの肩を持つわけだ?」
マイケルが負けずに怒鳴る。
「ええ、そうよ!! アレクセイはね、小さいことにこだわってばかりいるような誰かとは違うわ!!」
「落ちつけよ!! 皆」
ケンはみんなを宥めようとしたが無駄だった。
「誰かってのは俺のことか?!」
とばかり、マイケルはミレイユに詰め寄った。
アレクセイという存在がここにいるだけで、ケンはいつかこんなことが起きるのではないかと思っていたが、状況は収拾がつかなくなってきた。
「そうよ! あなたよ!! ボクサーの拳は凶器にもなりかねないって言ってたのはどこの誰よ!」