春の夢 45

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 アレクセイは苦々しい顔で座っていた。
 ミレイユは半泣き状態である。
「だから、もうちっと冷静になれよ」
 ケンが諭すようにマイケルに言った。
「全く、いい大人がオフィスに私情持ち込んで、大喧嘩なんておハナシにもなりゃしない」
「ごめんなさい…」
 ミレイユがしおらしく謝った。
「決着はアフターファイブに……と言いたいとこだけど、こうなったからには俺も聞きたいね。一体どうなってるんだ? アレクセイ、事実か?」
 ケンの口調は静かだが、しかしトゲを含んでいた。
 それに答えたのはミレイユだ。
「デタラメよ! あたしはアレクセイと飲みに行っただけ。その後、送ってもらったから、コーヒーを飲んでいってって行ったのよ。ずっとクラブにいたのよ。そんなに疑うんなら、クラブの人に聞けばいいわ。アレクセイのことなら、皆が覚えてるわよ」
 アレクセイはシレッとした表情のまま、口を噤んでいる。
「すまん…アレクセイ。俺、つい頭に血がのぼって…とにかく俺が悪い。殴ってもいいぞ」
 ようやく少し冷静になったマイケルは必死でアレクセイに謝った。
「謝るこたないね。騒ぎを大きくしたのはアレクセイ、お前だ。何で、否定せずにあんな嘘を言った?」
「裁判官はケンに変わったのか?」
 アレクセイは皮肉った。
「ふざけるなよ!」
「俺ならやりかねない、お前もそう思ったんだろ?」


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