春の夢 53

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 少年たちはからかうようにケンに詰め寄って来る。
 ケンは少々やばいかな、とも思ったが、ここまで来ては引くわけに行かない。
「カウンターで待ってることにするよ。悪いけど、ちょっと退いてくれないかな?」
 しかしいきなり目の前のごつい男が、ケンの顎を掴む。
「退けとは俺に言ってるのかな? 坊や」
 ケンは思わず、その手を払いのけた。
「そう、君に言ってる」
 しかし男は退いてくれようとはせず、今度はケンの胸ぐらを掴んだ。
「可愛い面して、いい度胸だなあ、坊や」
「あのね、俺はケン。坊やじゃない」
「じゃあ、ケン。ロジァが来るまで俺が遊んでやるよ」
 男は酔っているようだった。
 力もかなりあるし、殴られたら、一巻の終わりという気もした。
 だが、ケンはひるむつもりはない。
「疲れているから、君と遊ぶ気力はないんだ。悪いけど」
 仕方がない、蹴りを入れて、取りあえず逃げるか、ドアは後ろだっけ…そんなことを考えていた時、助け船が入った。
「何やってる? 誰だ? そいつ」
 低い気迫のある声だ。
 振り向くと、精悍な顔つきの黒人青年が立っていた。
 ケンに難癖をつけていた男はその青年に言った。
「ポール、こいつロジァに用があるんだって言うからよ」


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