春の夢 54

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 ポールは眉を顰める。
「手を離せ」
 今度はケンに向い、
「何者だ? お前。ロジァに何の用だ?」
 と聞いた。
「俺はケン。ロジァの友人だ」
「皆ロジァの友人だって言うぜ」
「だから…君、ポールっていったね、『ブラック』の?」
 するとポールはにやついた。
「ああ。ロジァは戻って来るかどうかわからねえぜ。バイクで飛ばして来るって行ったっきりだ」
「どこへ行ったかも? ひとりで?」
「最近、俺たちを寄せつけねえ…」
「やっぱり、友達が死んだことをまだ引き摺ってるのかな? ロジァは」
 自分に向ってそんな聞き方をした者はなかったので、ポールはじっとケンを見つめた。
「そりゃ、まあな、それもあるだろうさ。何の用か知らねえが、坊やのうろつく時間じゃないぜ。今夜は帰んな。お前が来たってことは、ロジァに話しといてやるからよ」
 完全にガキ扱いされていると、ケンは溜め息をつく。
「坊や坊やって、俺はもう大人なの。君たちよりずっと」
「ほう?」
 ポールはニヤニヤしながらケンを見つめる。
 ロジァが階段を降りて来たのは調度その時だった。
 ジーンズの上にはレザージャケット、ブーツを履き、手にはヘルメットをぶら下げていた。


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