春の夢 55

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ロジァは降りるなり、ケンを見つけて怒鳴った。
「ケン!! 何やってんだ? あんた、そんなとこで!!」
「やあ、ロジァ。よかったよ、会えて」
 ケンはほっと胸を撫で下ろした。
「実は君に相談があるんだ」
 にっこり笑うケンは、ロジァも始めから何となく強く出られない存在だ。
「相談? 俺に? にしたって、オフィスで言やあいいだろ? 何でこんなとこ、来るんだよ!」
「ちょっと緊急なんだ」
「…わかったよ。とにかく出よう」
 ケンはロジァを自分の車に促した。
「俺の家に来る?」
 ロジァは構わないと答えた。
「君のバイクはどうしよう?」
「あそこに置いときゃいいさ」

 郊外の瀟洒な屋敷に、ケンは住んでいた。
 スターリングの家からはさほど遠くはない。
 家の中に入ると、ジョーが威勢よく尻尾を振りながら二人を出迎えた。
 ロジァはいきなり飛び付かれ、顔をベロベロ嘗められながら、その大きな身体を撫でる。
「すまない、ちゃんと訓練してなくて。ひどい甘えん坊でね、こら、ジョー、来い!」
 ケンが呼んだ。
「コーヒーでいいかな? どうぞ、その辺に座って」


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