春の夢 59

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 ロジァの肩が少しばかり揺れるのにケンは気づいた。
 だが、ケンは二人の関係を知っていることはおくびにも出さない。
「まあな、あいつはああいう存在だから、そのうちあんな事件が起きないとも限らないとは思ってた。きっと、ミレイユかカテリーナか、或いはどちらかともとどうかなるとか、でなくても、例えば局内の女性同士でせめぎあいになるとか…あれだけの男だからな。ないほうがおかしいかも知れない」
「好色漢のかたまりなんだ! あんな野郎!! ぶん殴られて当然だ。勝手にレースなんかに出てるんだろ? クラッシュでもすりゃ、いい気味だ!」
 ケンはロジァの激しい言い方に驚き、その言葉の裏側を探ろうとする。
「そういうなよ、ロジァ。実際のとこ、ミレイユの件は無罪だったじゃないか」
 ロジァは思わずケンを見つめた。
「無罪って?」
「ああ、俺たち四人、別に君とカテリーナを除者にするわけじゃないけどな、一応大人四人はこれでもお互いに親睦を深めてきたんだ、この一年。ミレイユとアレクセイもいい友人同士さ。あれはマイケルとミレイユが、最近ちょっとこじれたから、いらついてついってやつさ。マイケルの思い込みだったんだ。マイケルのやつ随分、気にしてたよ。第一、ミレイユはマイケルに心底惚れてるし、あれから二人、お互いの気持ちを再確認したみたいだ。マイケルのやつも場所も顧みず、やってくれるよな。羨ましい限りだ」
 そうなのか、とロジァは思う。
 しかし、だからといって、アレクセイが好色漢なのは変わりはない。


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