春の夢 61

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 いきなり、とんでもない罪を犯した気分になった。
 その時、ポケットの携帯が鳴った。
「やあ、ケン? ハンスだ。覚えてるか?」
その声を聞いてケンはちょっと驚いた。
G社の御曹司である。
「もの覚えはいいんだ。元気そうだね、相変わらず。そういえば、予選、アレクセイが出てたんでびっくりしてるんだ」
「君にも話してなかったのか? そうなんだ。どうだい、明日、こっちに来ないか? アレクセイが優勝するところ、君もみたいだろ?」
「すごい意気込みだね。そりゃ、見たいけど」
「よし、じゃ、明日、迎えをやるから」
 ハンスはとっとと先を決めていく。
「しかし、明日はアレクセイの奴に休み代わらせられて、仕事なんだ」
「そっちの都合に合わせるよ。P.P.は間違いなしだ、と言いたいとこだが、実は、何かあいつヘンだからさ。何かあったのかと思って」
 ケンを胸騒ぎが襲う。
「ヘンって? どう?」
「いや、無理に俺があいつを引っ張りだしたんだが、結構いつも軽口叩いている奴がやけに静かなんだ。それに使わない方がいいと言っていたエンジンを使いたいと言い出すし」
「どういうことだ? 何? 使わない方がいいエンジンって?」
「あいつが退屈しのぎに考えたやつ、俺が造ったのさ。それが凄いパワーなんだが、奴の言うには、下手するとエンジンがぶっ壊れる、一%でも危険性があるなら使わない方がいいと…ところがそれを始めからフル回転しっぱなしなんだ」
「暇つぶしに考えたエンジン? 何考えてるんだ、あいつ!!」
 ケンは電話口にもかかわらず激昂する。
「ハンス、もう一人、誘ってもいいか? 友達」
「構わないさ」


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