春の夢 62

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 ロジァを誘うのには、翌日が仕事だったことが好都合だった。
 ケンは、頃合を見計らって、次の日付き合ってほしい、とロジァに言った。
「どこへ?」
「それは行ってからのお楽しみさ」
ロジァは迷ったが、ケンに頼むよ、と言われては何も言えなくなった。
「君の家に迎えにいくよ」
 ロジァはそう念を押すケンを訝しげに見た。 
 午前八時頃に、ケンはスターリングの家に車をつけた。
 しかし、時間をとっくに過ぎているのに出てこないので、仕方なくチャイムを押した。
 だが、ドアが開いて現われたのはティムだった。
 始めてみるティムはブルネットの髪の華奢な美少年だった。
「あ…朝早くに済まない、研究所の同僚でケンというものだけど、ロジァは? まだ、寝てるのかな? 約束してあったんだが……」
「昨夜は帰ってない。どっかで飲んだくれてんじゃねーの?」
 しかしその美少年の口から出た言葉はロジァそのもの。
「参った…な」
 すっぽかされたか…と思う。
 だが、案外強情なケンはなるべく穏やかに聞いてみた。
「どこにいるか、心あたりないかな?」
 と、なるべく穏やかに聞いてみた。
「さあ…わかんねーな。『ヘル・ストリート』か、ポールんとこ辺りか」
「ポールの家はどこか、知ってる?」


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