春の夢 63

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 ティムが教えてくれた家に、ケンはまず行ってみることにした。
 『ヘル・ストリート』は前回のこともあり、何となく後回しにしたかった。
 教えられたサウスブロンクスにある古いビルの三階の突き当たり。
 何度かノックしたが、反応はない。
 いないのか、と仕方なく諦めて『ヘル・ストリート』に行ってみようと踵を返した。
 と、ドアが開いた。
 振り返ると、ポールが上半身裸で顔を覗かせた。
「やあ、朝早くに済まない。ロジァいないかと思って」
 ポールはニヤニヤしている。
「あん時の坊やじゃねーか。ま、入りなよ」
 ケンは何も考えずに中に入った。
 すると、中には四、五人の少年がゴロゴロしていた。
「ひどい煙だな」
 ケンは顔を顰める。
 濛々と立ち篭めた煙草の煙、空になった酒ビンがあちこちに転がっている。
「来なよ」
 ケンはポールに手招きされ、次の間のドアをくぐった。
 ベッドが一つ、脱ぎ捨てた服が無造作に放り出してある。
 すると、ポールはドアを閉めた。


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