春の夢 76

back  next  top  Novels


 ニューヨークに近付いた頃、アレクセイは目を開けた。
 輝く宝石をぶちまけたような夜景が、アレクセイにはひどく懐かしく思われた。
 ニューヨークは故郷の持つ暖かさで彼を迎えてくれている。
 そうだ、俺の故郷はここにあるのだ
 アレクセイは漠然とそんなことを思っていた。
 二人を送るリムジンの中で、ハンスは、その夜はニューヨークに泊まり、翌日、ミュンヘンに帰ることにすると言った。
 ハンスが心なしか淋しげなのをケンは見て取った。
 その時ケンはふと、ハンスはアレクセイをひどく愛しているのではないか、と思った。
 

 
 翌朝、案の定、アレクセイは局長に呼び出しを受けた。
「来たか…」
 アレクセイは呟いた。
「来たな、いよいよ、お前ともおサラバか」
 ケンが茶化した。
「何、どうしたの?」
 耳ざとく聞き返したミレイユに、ケンは説明してやった。
「そんな!! 優勝して何が悪いのよ!」
 おめでとう! と、彼を見つけてキスしたのは、ミレイユだけではない。


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ