春の夢 79

back  next  top  Novels


 
 
 
 
    ACT 5
 
 
 その日はボスの休日だった。
 ロジァがいないと、必然的に話題は彼になる。
 ミレイユとマイケルは、最近、ロジァを持ち上げる。
 ケンも一緒になり、私語は謹んでください、という声がない限り、時々笑い声が響く。
「本当は、テレくさいのよ、彼は」
 ミレイユが言う。
「ちょっとヒネくれてるだけよ」
「しかし、度胸は据わってるな。しかも、俺のパンチをアレクセイが咄嗟に避けたってのを見抜いたあたり、かなりケンカ慣れしてるぜ」
 マイケルが感心したように言う。
「な、アレクセイ、そう思うだろ? お前も」
「あ? …ああ、そうだな」
 アレクセイは曖昧に返事をした。
「どうした、レース疲れか? それともそのせいで、夜が忙しいとか?」
 マイケルがからかうが、アレクセイは乗ってこない。
 マイケルは目で、ミレイユやケンに、あいつはおかしい、といいながら、首をすくめてみせた。
 カテリーナはそんなアレクセイをチラッと見やり、また仕事に向かった。
 カテリーナは、最近、アレクセイとぎくしゃくしてしまうのをどうしようもなかった。
 はじめはまさかと思った。
 アレクセイがロジァを連れ回しているのは知っていた。
 ティムにも聞いた。
 だが、アレクセイがロジァを自分のアパートメントに連れていくのを自分の目で見た時はショックだった。


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ