春の夢 86

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 ヒューは口を閉ざしている。
「まさか、ベッカー…か……あいつは敵にしたくないが…」
 アレクセイは呟いた。
「…違う」
 ロジァが断言した。
「……ベッカー…は関係ねー…」
「何でそんなことが分かる?」
 それにはロジァは答えなかった。
「空軍…? アメリカ空軍が…? 何でお前を? 宇宙局と空軍は仲良しこよしじゃないのか?」
 思ったことをアレクセイは口にしてみる。
「…違う…空軍は…俺を使いたがったが…局は…それを拒んだ…」
「エッシャーにしろ、ベッカーにしろ、もとは空軍じゃないか」
「奴らは、軍の中でも…良識のある奴らだ」
 口の悪いロジァにしては最大限の褒め言葉だ。
「ほう? 軍にも良識なんてものあるやつがいたんだ?」
「ひとかけらくれーはな……う……!!」
 ロジァは笑おうとして、痛みに顔を歪める。
「もういい…ロジァ、おとなしくしてろ」
 するとそれまで黙っていたヒューが言った。。
「何で、ロジァが、空軍に狙われなけりゃならねんだ?」
「…それぞれ事情があるんだろ? ロジァは宇宙局長の息子だしな…」
「使うとか、使わねーとか、何なんだよ?」
「…さあ…俺は軍人が嫌いなんだ…軍人なんてものは何処の国でも、同じだ……非合法的手段を合法的にねじ曲げるくらい、朝飯前だ…俺も、下手すると、国じゃ、軍に利用されてたかもしれない…そいつが嫌だったってのも、逃げ出した理由の一つだ…宇宙局に入るのも、そいつがネックだったが、大恩あるスターリングの要請じゃな…」

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