春の夢 88

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 バンとドアが閉められたと思うや、ブスッブスッと不気味な音とともに、ドアに向けて数発の銃弾が撃ち込まれた。
 アレクセイは咄嗟に身を踊らせて、その銃弾を避け、代わりにマグナムを連射した。
 その銃弾の音を聞きつけて、俄に辺りが騒がしくなる。
 間髪入れず、窓ガラスがすごい音をたてて割れた。
 アレクセイは窓の側にいたヒューに覆い被さった。
 ガラスの破片をまともに受けて、アレクセイは頭や腕に怪我をした。
顔に流れる血を、アレクセイはシャツで拭いながら、窓から外の様子を見やり、「あっちとこっちと二人はいるな……」と呟きながら、ヒューの腕を引いて窓の側から離す。
「何で……俺の銃も持ってこなかったんだ…てめー」
 ロジァは喚いた。
「悪い…まさかこんなことになるとは…」
 アレクセイは眉間を寄せながら、ヒューを促す。
「ここは危険だ…出るぞ」
「わかった」
 ヒューは木偶の坊になった側の脚のブーツに指を突っ込んだ。
 激痛に歯を食いしばりながら取り出したのはコルト・ポケットだった。
「面白いものを持ってるな、お前…」
「敵ならとっくにあんたを殺してる」


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