春の夢 94

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 そんなことだろうとアレクセイもうすうす気づいていたが、少しばかり憤慨していた。
「しかし…他に今回のような事件があると防ぎようがない」
 ベッカーは深刻な顔で言った。
「その事件だが、やはりアメリカ空軍がロジァを拉致しようとしたわけか?」
「ヒューを送り込んだのは、以前からそういう動きがあったせいでもある。今回の事件を重く見て、エッシャーは厳重に空軍に抗議した」
 アレクセイの問いに、ベッカーは語気をきつくした。
「しかし、部下の不始末ってことで、空軍は処理するんだろう? あの連中をスケープゴートにして」
 アレクセイは皮肉った。
「今回の事件の首謀格とされたホフナー大佐は、君も知っての通り、かつて彗星βの到来があり、当時レーザーを積んだミサイル誘導装置のシステムを造った少年科学者を軍に利用しようと画策していた一人だ」
 いきなりベッカーは核心に触れてきた。
「宇宙局はかつて宇宙開発研究所の奥に、英才教育プロジェクトをおき、そのプロジェクトには四、五歳から十歳くらいまでの子供達が各国から参加していた。ロジァやカテリーナはそのメンバーだ」
「それは知っている」
 壁に掛けられた絵は、明るい海辺の町だ。
 鉄面皮のようなこの男にも癒してくれるものが何か必要なのだろうか。
「調度その頃だ。君も知ってのとおり、数億光年離れている小惑星βが実は彗星であることにR観測所の研究グループが気づき、NASAもそれを確認したが、国際天文学連合が発表する前に、NASAの宇宙開発研究所内の英才教育プロジェクトにいた少年が、その彗星が半年以内に地球に大接近し、かつ99%の確立で衝突すると言い出した」


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