春の夢 98

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 あらためてベッカーはアレクセイに問いただした。
「そんなもん、軍人がロジァといつも追っかけっこしてるんだ、町のチンピラ『ブラック』の連中だって、おかしいと思うさ。いくら宇宙局長の息子といってもな。俺にそう言ったのは、あの連中だ。俺は、彗星事件の時のことを思い出し、当時騒がれた天才少年の年齢とロジァが合致するんで、想像をたくましくしただけさ」
 アレクセイが軽くそう説明してやると、ベッカーは頷いた。
「なるほど…」
「それに抜かっているのはあんたの部下だ。ロジァに逃げられた時、青くなって、つい、『ロジァにもしものことがあったら、国家的損失だ』って言ってたのを『ブラック』の連中に聞かれてる」
「何だと?!」
 これはベッカーも初耳だったらしい。
 さらにベッカーの形相が強ばった。
「言っとくが、俺はS国にロジァのことを洩らしたりはしていないぜ。ひょっとして、俺の毎日の行状はとっくに盗聴でもして、了解済かな?」
「まさか、そんなことはしない。CIAがもしやっていたとしてもな。気をつけた方がいいかも知れない」
「そうしよう」
 アレクセイは言ったが、しばし躊躇いがちにベッカーに訊ねた。
「しかし…あんたも…俺とロジァのことは知ってるな?」
「知ってる」


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