東京へ行こう -ケン- 1

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 つい口にしてしまっただけだ。
 ほんの数分前までは頭の中にはなかったことなのに。
 だが一旦口にしてしまうと、まるでずっとそうしようと思っていたかのように動いていた。
 で、気が付くと、JALのファーストクラスで寛いでいるうちに機は成田上空に差し掛かっていた。

    Act 1

 クリスマス休暇はスタッフ六人が三人ずつ前半と後半に分かれて取ることになっていた。
 二十九日の午後から、前半のクリスマスイブから休みを取っていたマヒンダ、カテリーナ、マイケルと入れ替わって、アレクセイ、ロジァ、ケンが休暇に入った。
 アレクセイはロジァとパリに行くらしい。
「ケン、エアとホテル、おさえといたから。クリスマスプレゼント」
 アレクセイが帰り際そう言った。
ケンは覗き込んでいた画面から顔を上げた。
「あ?」
 確かに東京に行くつもりだとは言ったが、まだ具体的にいつ発つとかは決めていなかった。
 これからチケットを取って、ジョーのシッターを手配しなくてはならないな、などとのんびり考えていたケンは、アレクセイが目の前に置いて行った封筒を開けて、「あのやろう、勝手に……」と呟き、一つため息をついた。
 封筒には東京行きのエアチケットが入っていて、それもはっきり言って知りたくはない金額だろうファーストクラスだ。

 
 


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