東京へ行こう -ケン- 40

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「そろそろ、くるはずだけど……」
「え?」
「あ、来た」
 純は入口の方を見て、手を挙げた。
「遅くなってごめん。だって急にどうしても来いとか言うし」
 ケンは近づいてきた女性を振り返った。
「あけましておめでとう! って、え、え、純、享の他に兄弟っていた? 私に紹介したい人ってこの人?」
 女性というより、ミニスカートにブーツ、髪をアップにしたくりっとした目が印象的な可愛い少女という感じだが、ケンを見て驚いている。
「いや、従兄」
「従兄?」
 すると純は徐にケンに彼女を紹介した。
「倉本千恵美、ケンの従妹だ。瑠美さんの妹の娘だから」
 ケンは驚いた。
「千恵美、ケン・オカモト・ロウエル。瑠美さんの息子だ」
「えええーーーっ! ウソ!」
 千恵美は思わず立ち上がって声を上げた。
「ケンが、瑠美さんの実家に行きたいって言うから、まず千恵美に会っておいた方がいいかと思って」
 純はそれから千恵美に、ケンが日本に来たわけや、これまでの経緯をかいつまんで話し、ケンが瑠美の実家に行きたいと言っていること、ケンには、千恵美は瑠美の妹真美の娘で今は東京の大学に在学中であること、実家は名古屋にある古い旧家で、千恵美には兄がいて結婚して子供がいることや彼女の両親、祖父母ともに健在だが、気難しい祖父が家を仕切っているし、純也と瑠美の結婚に最後まで反対していたから、おそらくケンが行っても歓迎されるかどうかわからないと説明した。
「そっか、だったら、私、明日家に帰るから一緒に来るのが一番いいと思う。思うけど、祖父は多分歓迎しないと思う。うちは未だに祖父が何もかも牛耳っているみたいな、古い家で、おばあさまも父も母も、それに兄も、祖父には何も言い返すことなんかできないのよ。私はそんな家が大っ嫌いだから、ほんとは毎年元旦は、家族での行事みたいのがあって、私も帰るように言われてたんだけど、ゼミの先生にお呼ばれしてるからって無視したの」
 ミルフィーユをつつきながら、千恵美は言った。


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