東京へ行こう -ケン- 50

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 ケンとしては、ロウエルと倉本家との関わりを知りたかったが、これでは諦めるしかないだろう。
 五分ほど歩いたところにこじんまりとした喫茶店があった。
 店内はなかなか年季が入っているが、明るく温かみのある雰囲気が漂っている。
「いらっしゃいませ、あ、千恵美! 帰ってたんだ」
「亜矢! あけましておめでとう!」
「おめでとう!」
 ドアベルとともに中に入った三人を出迎えたのは千恵美の友達らしく、まだあどけなさの残る顔を向けた。
 客はカウンター席に二人、あと数人がテーブルに着いていたが、カウンターの中の年配の男と親しげに言葉を交わしている。
 窓際の席に案内されて、コートを脱いで座った純と千恵美は二人でふうっと大きく息を吐き、やっと肩の力を抜いた。
 何だか二人とも振り回してしまったな。
 ケンは自分のために二人に迷惑をかけたことを申し訳なく思った。
「何かあたし、お腹すいちゃった。サンドイッチとブレンドお願い」
「ああ、俺も、コーヒーとピラフ、できる?」
 千恵美と純が言うと、ケンも何となく空腹を感じてコーヒーとサンドイッチを頼んだ。
「よかった。亜矢んちいつも二日は営業してくれるから。中学からの同級生なんだ」
「はじめましてぇ。で、どっちが彼氏? どっちもカッコいいっていうか綺麗な方ね。ご兄弟?」
 改めて水とおしぼりを運んできた亜矢は、千恵美にストレートに尋ねた。
「ケンとこっちが純。二人は従兄弟なの。で、ケンは私の母方の従兄」
「フーン、じゃ、彼氏は純くん? ひょっとして親に紹介したとか?」
「そんなとこ。親とは縁切ってきたけどね」
「ちょおっと、また喧嘩したの?」
 訳知り顔で亜矢は尋ねた。


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