東京へ行こう -ケン- 6

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 タクシーが横付けされたホテルは、東京都心にある帝都ホテル。
 フロントで名前を言うと、すぐにインペリアルスイートへと案内された。
「だから、こんな広い部屋でどうしろっていうんだよ」
 一週間支払い済み、延長の際はアレクセイに請求が行くらしい。
「さて、どこから始めようか」
 ホテルは新年を迎えるための飾り付けがそこここに施してあった。
 フロントのフロアには大きな凧が空を舞い、大きな門松が中央に鎮座している。
 日本ではニューイヤーイブをどんな風に過ごすのだろうか。
 ケンはそんなことを思いながら、ひとまずシャワーを浴び終えて着替えると、とりあえず夕暮れの街へと出てみることにした。

 ケンは乗り込んだタクシーの運転手に、葛飾区小岩を告げた。
 両親の写真はロウエルから渡された遺品とともにケンの部屋にしまい込んであった。
 父親のパソコンは盗まれたが、夫人のエプロンのポケットにあった携帯はかろうじて盗まれずにあって、赤ん坊と一緒に夫妻が移った動画もその中のSDカードに残っていたし、父親の本や空手をやっていたらしく空手衣と名前が刺繍された黒帯、母親の描いていた絵、それにケンが生まれて頃からの写真とともに、それぞれの家族と思われる何人かと一緒に写った写真も残されていた。
 IDやパスポートもなかったため、調べるのに時間がかかったが、夫妻がいつ渡米し、その家族構成、住所、電話番号などはとっくにわかっている。
 日本の調査会社に調べさせたところによると、父親の岡本純也の出身地はその住所にあり、純也の父親が経営していた時計店を今は純也の弟である文也が継いでいるらしい。
 文也は妻奈美と二人の子供があり、長男の純は大学三年で二十一歳、弟の享が大学一年で十九歳、父親は岡本純一、その妻は朝子、六人家族ということだ。
 ちなみにケンは日本名を岡本賢と書くようだ。
 遺された動画や写真から推測するには、少なくともケンは両親に愛されていたらしい、それだけがせめてもの救いだ。


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