東京へ行こう -ケン- 82

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 翌日は朝から局内にシステムトラブルが数か所発生して、自分の仕事などそっちのけでその収拾に追われた。
 マイケルとマヒンダは今日からパリに出張のため、休み明けの三人とカテリーナの四人が二手に分かれて局内を走り、ランチも取れずに画面を睨みつけていた。
 宇宙局で仕事をしていると言った時、純にはすごいなどと言わせたが、実情はこれだ。
 宇宙局内の何でも屋。
 ケンはフンと笑う。
 もちろん、自分の研究や様々なプロジェクトの仕事も当然あるのだが。
 それにこのチームに課せられたとあるトップシークレットに関わる特殊任務というのが、局長やら上の幹部との間では暗黙の了解として存在している。
 誰も表立っては言わないかわり、重荷と感じたらいつでも辞めてもいいことになっている。
 ただ、辞めたその先は、果たしてどこに飛ばされるやら見当はつかない。
 さらに、このチームが極めて有能なメンツで固められていることも事実だ。
 その中の一人として認められていることは、ケンも自負していいと思っているのだが。
 それにしても、メグの言ったように、例え彼女が百考えて一つの答えを出すうちに、ケンやこのチームの人間が十とか二十とかの答えを用意できるとしてもだ、ハッカーに攻撃を受けてあわや局の重大事になるところを、たった四人で極力速やかに未然に防げ、なんて、まったく冗談じゃない。
「どっかのセクションが、うっかりハッキングさせるような穴を開けてしまった尻拭いを、食事も抜きでなんざ、やってられっかての」
 隣の男が超美形には似合わないようなセリフを吐いて、グラスのウォッカを飲み乾した。
 しかもセレブ御用達とは言い難いこの古びたレストランバーだが、チームの行きつけで、カウンター越しに、今日はえらく荒れてるな、などと声をかけてくるオヤジは馴染みのバーテンダーだ。
 アレクセイがつついているアサリのフィットチーネやホタテのグリルは店の見てくれに似合わずなかなか美味い。


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