西高東低12

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 力に気づくと東山は数人の女子にクスクス笑われながら躍り上がらんばかりに力に駆け寄った。
「そら、よかったな」
 力は自分の椅子に鞄を置き、コートを脱ぐ。
「もうあれもこれも何もかも成瀬のお蔭! 佑人サマサマ!」
 ははあ、と佑人の机に頭を深々と下げる東山に、「俺じゃなくて東が頑張ったんだろ」と言いつつ、佑人は力を見つめた。
 気になっているのは力の合否だ。
 一応、力がどの大学をいつ受験したかは聞き出したものの、たまにメールをやり取りするくらいで顔を合わせるのも二月の始めに補講から帰る時に別れて以来だった。
「受かるまで会わない。受かったら知らせる」
 そう断言する力にはもう何を言っても無駄だと佑人もわかったし、無論邪魔をしたくなかった佑人は頷く以外になかった。
 力は少なくとも二校は受けて、そのうちの一つY大は既に合否がわかっていたはずで、連絡がないのはダメだったのか、と佑人は自分のことよりもヤキモキしていたのだ。
 受かったらって、もし万が一受からなかったらどうすんだよ!
 ずっともう会わないつもりかよ!
 佑人にとってみれば、力が合格すれば嬉しいけれど、もし受からなくて浪人することになっても、また頑張ればいいのだし応援したいと思う。
 自分だって受かるか受からないかまだわからないわけで、佑人は仮に受からなくてもそれなりにやっていけばいいというスタンスだ。
 だが力は何やら意地になっている。
 佑人と担任の加藤以外には志望校すら話していない。
 受からなかったから受かるまで会わないとか力が言い出したらどうしようと、佑人は気が気ではなかった。
 今日、十四日はS大獣医学部の合否がわかることになっていた。


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