西高東低20

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 東山が拳を握るのを横目に、「じゃな」とバーバリーのコートにこじゃれたマフラーを巻きつけ、いかにもいいとこのボンといった風体で甲本が教室を出る。
「あのやろうも、見事にいい子ぶりっ子しやがって」
「あ、甲本?」
「あいつも一中でさ、表の甲本、裏の山本っていや、泣く子も黙る……」
「え、あいつ? その甲本? ウッソ!」
 思い通りに驚いてくれる東山に坂本は満足して腕組みをする。
「ったく、人は見かけによらないって、このことだよな」
 甲本が聞いたら、お前が言うな、と返されそうなことをほざいて坂本はうなずいた。
 だが、坂本が力に声を張り上げたのが、力が佑人の手を握りしめて出て行ったことを有耶無耶にしようとするためだとは、お蔭で誰も知る由もなかった。
「いくらあとちょっとで卒業だっつっても、てめぇはいいとして、もちっと佑人のことも考えろよ」
「え?」
「いや、マック寄ってく? おごるぜ、合格祝い」
「やった! って坂本でマックって、何か侘しい気が……」
「この坂本くんがお祝いしてやろうってんだ、ありがたいと思え」
 パコンと頭をはたかれた東山は、「あ、待てよ!」とあたふたとコートを掴んだ。


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