西高東低28

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「力のヤツ、まだ? あ、練、俺、コーヒー、東は? 何でもいいぞ、今日は合格祝いだからな。何なら、バレンタインメニューにするか?」
 坂本はニヤニヤと笑う。
「侘しいことさせんなよ。俺も、すんません、コーヒーお願いします」
「ケーキつけろよ、バレンタイン特製……」
「だーから、いいっての。でもじゃ、やっぱ力のやつ、内田には会わなかったわけ? かっわいそ、内田、結構真剣だったぜ」
 東山の言葉は佑人の胸にチクリと刺さる。
「しゃあないだろ」
「いくら何でもありゃ、女を敵にまわすぞ、冷酷でひでぇやつって。会って返事するだけだろ? 付き合えっつってんじゃねぇんだしよ」
 佑人もそれはそう思ったのだ。
 きっちり会って伝えるべきではと。
「いんだよ、もし返事するだけでも会ってみろ、ひょっとしていつかは、とか、女に期待持たせるかもしんねぇじゃん。ヒデェヤツとか言われようが何と思われようが、ウソがつけねぇ力には、女に会うとかあり得ねぇ選択なんだよ」
 もっともらしく坂本が言った。
「まあ、そういうのもわからないでもないけどな」
「内田のことだ、理由を聞かせてとか誰か好きな人がいるのとか言われたら、力のヤツ、めんどくさがって、ホントのこと口にしちまうぞ。まあ、寄れば食う、誘われれば寝る、って、本能に忠実なヤツだからこそだ」
 思わず佑人は坂本を見た。
 あり得なくはないことのように思えて、佑人は心の中で納得する。
「え、何だよ、ホントのことって、力、好きなヤツいるのかよ? つきあってんのか?」
「まあな」
「え、誰だよ? 俺の知ってるやつ? 同じガッコ?」
「まあな」
「もったいぶってねぇで、教えろよ」


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