西高東低6

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 言葉自体がぶっきらぼうなせいで誤解されやすいが、佑人のことを思って言ってくれているのだと、佑人はわかっていた。
「だから、こうして説明してる方が頭に入るんだって言っただろ?」
「加藤よりわかってるんだろう、帰って自分の勉強しろよ」
「そんなの先生の冗談にきまってるだろ。家でやるより教室のが集中するんだよ。図書館も行きたいし」
「勝手にしろ!」
「勝手にする」
 二人のやりとりにおろおろする東山を無視して、力は英語の補講も受けるらしく、自分の席に戻っていった。
 最近あまり話らしい話はしていない。
 力は前にも増して不愛想だし、口数も少なくなり、不機嫌オーラで近づき難さありありだ。翌日に一校目の受験を控えているから仕方がないかも知れないが。
 佑人も力の邪魔はしたくないので、向こうから声をかけてこなければそっとしておこうと思っていた。
 だが喧嘩をするつもりはなかったのに。
 しかも教室内で。
 ほかの生徒がもの珍しそうに二人のやりとりを見ていた。
 つき合っているとか、クラスメイトに知られるのはまずいだろうと、佑人は教室内では今まで通りあまり目立たぬようにと過ごしてきたつもりだ。
 それでも三学期に入ってもずっと登校し続けていたのは、もうすぐこうして同じ空間にいることさえできなくなるから。
 だって、もうあと少ししか一緒にいられなくなるのに。
 東山も今の佑人にとっては大切な仲間だし、卒業してしまえば、どうしたってもう力とこんな風に言葉をかわすことさえ、できなくなるのだ。
 家は近いのだから行き来はできるとしても、もう同じ制服を着て窓の外の空を眺めることもできなくなる。
 少しでも力と同じ空間にいたいのにな。


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