ひまわり 3

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 優作も長野県出身なのだから、できることはできるが、スキーにそんなに執着していたわけでもなく、周りにいる男たちの腕は遥か上を行く。
 実はそんな連中と比べられて、自分が恥をかきたくない、というのが、本当の理由だったのだが。
 否、あいつと比べられるのが嫌だっただけだ。
 優作は近年自分の一番身近にいる男の気さくで大らかな笑顔を思い浮べる。
 大柄でアメフトで鍛えられた男らしい端正な顔つきで、バイリンガルどころか数カ国語を操る帰国子女、しかも頭も切れる、と何拍子も揃ったその男は女にも当然よくもてる。
 そのせいか、女の子をとっかえひっかえ、長く続いた試しがない。
 大らかといえば聞こえはいいが、楽天家でマイペースこの上なく、周りはいつも振り回される。
 要は無節操なやつなんだ。
 思い出すだけで腹立たしい。
 大学時代べったり一緒だったのだから、何も同じ会社に決めなくてもいいじゃないか、と思う。
 お陰で自分は地味で気を使うばかりの美術誌の編集部にいるのだが、華やかなスポーツ誌の編集部に配属されたあいつとまた比べられることになったのだ。
 コトリと大きめのグラスが優作の前に置かれる。
「あ、ありがと」
 アイスティーの涼やかな香りが鼻をくすぐる。
 オーダーしなくても元気が作ってくれたそれは、優作が気に入っているオリジナルブレンドティーだ。


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