ひまわり 6

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 優作は一気に飲み干してしまう。
「いいご身分じゃないかよ」
「別に何の変哲もない毎日だ。元気みたいにフレキシビリティに生きられるのがいいよ」
「何だよ、それ」
「いや、俺なんかさ。ありきたりの男だから、ありきたりの人生送るしかないんだってこと」
「今度は人生相談か? 如何に生きるか、それが問題だ」
「茶化すなって」
「せっかくだから泊まっていけよ。他に用もないんだろ?」
「え、けど…」
「うちの母親、お盆が終ったと思ったら、さっさと伯母さんたちと旅行に行っちまって、俺一人なんだ。昨日から北海道だぜ? お盆休みもなく、息子が汗水流して働いてるってのにさ」
 そう言うわりには、暑い夏というのに、元気の仕草は相変わらずゆったりと優雅だ。
 綺麗な顔立ちは実は何を考えているかわからないが、人当たりはすこぶるいい。
「何か、急に冷えてきたな」
「ああ、さっきまで一杯だったから、クーラー入れてたんだ」
 普段は夏でも店の中に足を踏み入れるとひんやりとした空気に取り囲まれる。
 クーラーなど必要ないくらいだ。
 元気はクーラーの温度を上げた。
「降ってきたな」
 優作は窓を振り返った。
 雷とともに一気に雨が振り出したようだ。
 窓から覗いても、雨で外の様子が見えない。
 雨に降られた観光客がどっと傾れ込んできて、また店内は一杯になった。


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