ひまわり 8

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 その時、玄関のチャイムが鳴った。
「元気、誰か来たみたいだぞ」
「ああ? 誰だろ」
 エプロンで手を拭きながら、元気は玄関に向かう。
「お客さん? そっか、じゃまた出直すわ。これ、鮎や。今夜のうちに食えよ」
 大きな声が優作にも聞こえてくる。
「おう、サンキュな、いつも」
 やがて元気が数匹の鮎が入った袋を持って戻ってくる。
「高校の時のダチだった。お前、ラッキー! 獲れたての鮎だぜ。早速塩焼きにしよう」
 その夜の食卓は焼肉に鮎の塩焼きと、思った以上に豪華なものになった。
 ビールで乾杯し、焼きたての鮎に齧り付く。
「美味い!」
 ついつい感激して声が出る。
 元気の料理の腕もまたいいから、同じ焼肉、塩焼きでも一味違うのだ。
 冷蔵庫に冷やしておいた生酒をやるころには、すっかり口の方も滑らかになっている。
「つまりな、俺はごくごく一般市民だからな、お前等と違って」
 優作は常々思っていたことを口にする。
「平々凡々な生涯を送るために生きてるわけよ」
「お前等って何だよ、俺は…」
「まあ、聞けよ」


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