雪の街14

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「俺、臨時バイトの遠藤。今日はバリバリ働くんでよろしく!」
「え、ちょ…さ……」
 朔也と言いかけて、「遠藤さん」と元気は言い直した。
「ライブとパーティだろ? 人手はいるじゃん」
「バイトは頼んでありますよ」
「いいからいいから」
「えー、でも、どっかで見た気がする…」
 紀子は首を傾げる。
 勢いよくドアが開いて、冷たい風がひと吹き店内に流れ込む。
「うーーーっす! 元気、そろそろステージ作るか」
 頭にバンダナを巻いたがっしりした体型の髭面が大きな声で言いながら入ってきた。
「おう、もちょっとしたらな」
 顔を朔也に向けた途端、髭面の動作が止まる。
「お前、もしや……遠藤?」
「よう、朝倉、久しぶり」
 朔也は笑みを浮かべて言った。
「遠藤だー! ハハッハ、本物だー! お前、何してんの? こんなとこで、エプロンなんかしちゃって」
 バシバシ朔也の叩きながら、朝倉は笑う。
「臨時バイト。今日のライブの手伝い」
「おい、冗談だろ? 一番の出世頭が」
「何が出世頭だよ。お前またでかくなった? 横に」
「ほっとけ! お前、ガキが二人もいてみろ、貫禄もつくってもんだ」
 紀子は洗い物をしていながら、「絶対どっかで見たことあるんだけどな」と一気に二人同窓会と化した朔也と朝倉にちらちら視線を送る。
「そーだ、年末ライブ、元気、もちろん行くんでしょ? 『GENKI』の」
 朝倉のコーヒーを用意ししている元気に紀子が訊いた。


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