雪の街18

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 朔也はちょっと肩を竦めると、朝倉を手伝って一緒にステージの設置に取り掛かった。
 テーブルと椅子を脇に寄せてドラムスやアンプ、マイクなどをセッティングする。
「なあ、音、漏れないか?」
「一応、元気が壁とか全部防音にしたんだ。ま、ドアや窓から多少の音が漏れるのはご愛嬌ってことで」
 朝倉がにかっと笑う。
「うーーっす!」
 バンとドアが開いて、大きな荷物を抱えてひょろりとした若者が入ってきた。
「おっせーぞ! 秀喜」
 朝倉と秀喜がそれぞれドラムスやベースのセッティングを終え、調整を始めた頃、本物の臨時バイトが二人現れた。
 一人は細い、柔なタイプの青年、一人はかなり大柄な、しかし優しげな眼差しの男だ。
「遠藤さん、正人くんとこっちが豪です。もうこの二人にバトンタッチしてやっていいですから」
「いいって。二人より三人のがいいだろ?」
「でも……」
 今までの経験上、これ以上何を言っても聞かないだろう朔也に、元気は仕方ないな、とため息をつく。
「ども、遠藤です。よろしくぅ」
 朔也はいつにない愛想を振りまいた。
「はあ、よろしく」
「遠藤さん? ってどこかでお会いしたことありましたっけ?」
 豪が紀子と同じようなことを聞く。
「さあ、会ってるかもな」
 会ってるじゃねーかよ。
 朔也は心の中で突っ込みを入れる。
 確か、坂之上豪、とか言ったっけ。
 朔也の写真集を出すと事務所の社長が息巻いて、新進カメラマンを紹介するからと、一度だけスタジオで顔をあわせたことがある。


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