雪の街22

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 元気の声がマイクを通して店内に伝わると、後ろの方から黒い影がぬっとステージに上がってきた。
「混ぜろ」
 いきなりすごまれて、朝倉はひえっとばかりに、マイクを一平に渡してしまう。
 それでも、一平は後ずさりする朝倉の肩に腕を回し、元気のギターに合わせて『White Christmas』を熱唱する。
「間に合った~! へええ、何か、豪華だなー、今日のライブ」
 最後の最後に店に入ってきた清隆の第一声だ。
「松田! 会費」
「えー、もう終わりやろ? 負けといてよ、紀ちゃん」
 きっちり手を出した紀子に、清隆は言った。
「そうはいかないの。一平にだってちゃんともらったんだから」
 容赦ない紀子の言葉に、清隆は渋々財布を取り出して紙幣を渡す。
「遅かったな。俺はまた雪にでも埋もれたかと思ってたぜ」
 コートを着たままの清隆に、朔也はビールの入ったグラスを渡した。
「お前な、それが遠路車を飛ばしてきたな○×○×にいう言葉か」
 急に大きくなったステージの音に清隆の言葉がかき消される。
「るさいな、わざわざこんな雪の日にくるから悪いんだ」
 とはいえ、朔也も少しは心配していたのだ。
 清隆の顔を見て、心の中でほっと胸を撫で下ろす。
 アンコールの大声援にこたえて、『GENKI』のメンバーもクソ狭いステージで、『Silent night』を合唱し、ライブはようやく終わりを告げた。
 思いもよらぬライブに客たちは大満足で、それぞれの家路につき、残ったのは『GENKI』のメンバーと、元気のいつもの仲間たちだった。
「清隆~!!!」
「おう、若旦那、元気してたか?」
「てめー、最近ご無沙汰じゃねーか。いい女でもできたか? え?」
 隣の男がニヤニヤと近づいてくる。
「山崎じゃねーか、お前こそ何してんだよ」
「去年、こっち引き上げて先生様だ」
「ちぇ、もっと景気のいい話、ないのかよ」
 早速、清隆は同級生に捕まっている。


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