雪の街3

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「元気って、元気のことだろ? そういや、元気とお前らの『GENKI』と何か関係あんのか?」
「てめぇは何で知ってんだよ、元気を」
 低い声で凄みを利かせたのは一平だった。
「高校の後輩なんだよ、元気は」
「え、そうなんですか?」
 みっちゃんはそれを聞くと微笑んで、口調も柔らかくなる。
 クールな美貌故に一見近づき難そうな朔也だが、その口の悪さがかえって女たちはもとより人を身近に引き寄せるらしい。
「奇遇ですね。じゃ、T市出身なんですか? 元気はもともと俺らのメンバーだったんですよ。でも、あいつ親父さん亡くなって店継ぐって帰っちまったから。頑固で、戻ってこいっつってもきやしないんで、今のとこ、歌詞だけ提供してもらってるんです」
「へえ、そうなのか。こないだ電話で話したとき、今年は雪、全然降ってねーって言ってたぞ。降っても二メートルなんざ積もりゃしねーから、安心しな。もっとも、クソ寒いことだけは確かだが」
 また、「げ~~~」とマサがぶーたれる。
 朔也は今度会ったら元気をとっちめてはかせてやろう、と密かに思う。
 もとメンバーだ? そんな話ちっともしてなかったぞ、俺には。
「やつと会うのか?」
 みっちゃんの背後から、また低い声が聞いてくる。
「年末、一緒にスキーするんだよ」
 思い切り不機嫌そうな一平の問いに、朔也もぶっきらぼうに答える。
 一平はフン、と鼻で笑い、踵を返して車が待つホテルの裏口に向った。
「なんだ、あいつ」
 眉を顰める朔也に、「すみません、元気のこととなると一平、大人気ないもので」とみっちゃんが代わりに頭を下げる。
「俺らも年末、ライブあるんで、向こう行くんです」
「しかし、よくあんな田舎でやるよな」
 朔也も感心したように言う。


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