雪の街6

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「ウッソだろ? お前んちって、それマジで言ってるのか? 俺はホテルとって……」
 ようやく真夜中に互いの時間が空いて、訪ねてきた清隆の話に、朔也は呆れた。
「街にいるのに、家に帰らないわけにはいかねーんだよ。あんな小さい街で、どっかしらでばれちまわー」
「だから、お前は帰ればいいだろ」
「お前も、うちに行くの。お袋にもそう言ってある」
「言ってあるって、お前……」
 まあ、高校の同級生であるし、普通は友人宅に泊まるのにさして不思議はないかもしれないが。
 高校三年の時、一度だけ清隆の母親に会ったことがある。
 学園祭の打ち上げでクラスメイト数人と押しかけ、文字通り飲めや歌えの宴会でそのまま皆寝込んでしまった。
 清隆の母親はよく笑う気さくな人だった。
 それでも何だか、朔也としては清隆の家に泊まるというのは回避したいのだ。
 好き勝手やっている自分でも、清隆の親と面と向うには、幾分かの後ろめたさがある。
 本当なら、可愛い嫁さんでも連れてきて欲しいと思っているに違いないのに。
「苦手なんだよ、人んち泊まるとかって」
「んなこと言ってられねーさ、ま、行ってみればわかるって」
 清隆はさっさと決めてしまい、しかもクリスマスイブには自分もTに行く、仕事が終わらなければとんぼ返りしてでも行く、と宣言する。
「何でそんなことする必要があるんだよ」
「お前、去年のイブも仕事で会えなかったんだぞ。今年こそ二人きりでいたいと思わねーのかよ」
「別にイブじゃなくても、俺らクリスチャンじゃねーし」
「お前って案外、ロマンがねーんだよ! クリスチャンだろうがなかろうが、知ったこっちゃないの。イブっていやあ、二人で過すって、相場が決まってっだろ? この日本じゃあ」
 そう、浅黒い肌の、大男がのたまう。
 案外、この男はロマンチストらしい。


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