桜の頃 7

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 卒業式は厳粛なうちに、滞りなく行われた。
 中でも、原稿もないのに、よどみない調子で、答辞を読んだ千雪の姿はどこまでも美しく、凛と
して気高くさえあり、後々まで語られるものとなった。

「やってくれたな、千雪」
 式が終わると早速三田村がやってきて千雪の肩に腕を回し、すかさず携帯で写真を撮る。
「感動の嵐やったで、お前の答辞」
「おおげさや。それより、今朝、写真撮るいうたのに何で来ぃへんかった?」
 眉を顰めて千雪は三田村を睨んだ。
「生徒会室で結構時間押してしもて、慌ててグラウンドまで走ったんやけど、何や、義経弁慶が仲ようやっとるのんをみて、こら、お邪魔さんやなと引き返してん」
「何がお邪魔や」
 そう、何か、言うことがある気がしていた。
 研二に、何か。
「ええ、記念写真を撮るから、各クラスに別れて、庭に出るように」
 教師が声を上げて指示をしている。
 俄かに出てきた南風が、卒業生たちの間をぬって吹き抜ける。
「よう、研二」
 研二が振り返ると、三田村が近づいてくる。
「おう。あとで、千雪のうち、集まるて、聞いたか?」
「聞いた。なあ、研二」
 三田村はちょっと声のトーンを落とす。
「何や?」
「ええんか? お前」
「何がや」
「千雪を一人で行かせて、ええんか言うてるの」
 三田村の目を見て、研二は険しい表情を返す。
「千雪は子供やない。ええ加減、過保護なダチはいらんやろ」
「俺はお前のことを心配してんね」
「俺がどないしたて?」


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