花のふる日は 4

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 もちろん週刊誌を見てすぐ、携帯の電源も切ってしまっていた。
「いい加減、潮時いうこっちゃな」
 年末には北海道にある京助の実家の別荘へ強引に連れて行かれたが、そこで会った公一の話によれば、いつもは女の子をうじゃうじゃ、連れてくるらしいし、兄の紫紀もまた、最初千雪を女だと思い込み、しかも一人だけだということに驚いていた。
 実際、出会った頃から、京助の周りには学生から教授陣から女が群れているのを目の当たりにしているのだ。
 ちょっとばかり熱に浮かされていたのだろう、お互いに。
 俺は、一人が寂しうて京助に依存し、京助は俺の見た目に騙されて、互いに好きやと思い込んだ、と。
「俺は別に騙したわけやないけどな」
 熱が冷めてみれば、何やってんのやろうと、思い知ったわけで。
 テレビの画面は天気予報に変わり、また桜の話題になっている。
 花……か。
 桜の花が千雪の心を切なくさせるようになったのは、いつ頃からだろう。
 あれは大学一年の春休み、ちょうど今頃だ。
 夏にバイクの免許を取っていた千雪は、研二を驚かすつもりで金沢へ一人で向かった。
 金沢と東京に別れて新生活をスタートさせてから、電話をしてもそっけない、音沙汰のない薄情な親友を驚かそうと、研二には何も言わずに辿りついた研二のアパート。
 だが、そこで千雪は研二の部屋から出てきた美しい女性を見た。
 そのあと部屋から出てきたのは、紛れもなく研二。
 二人は研二の運転する車で去った。
 結局千雪は研二に声をかけることもなく、東京に舞い戻った。
 そっか、彼女できたんなら、ダチのことなんかかまってられんわな。
 無理やり、自分にそう言い聞かせて。
 東京に戻った千雪を満開の桜が出迎えてくれたが、その花の美しさは胸の痛みと共に未だに心の奥底にある。


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