花のふる日は 111

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 江美子の言葉が頭に舞い戻る。
 半分は強がりかもしれんけど、女は強いなぁ………
「いつの間にか携帯の電源入ってるし」
 自分は入れた記憶がないので、京助だろう。
 そういえば、夢うつつに、京助が電話で呼び出されて出て行く音を聞いていた。
 教授らしかった。
 みんな、何でそうタフなん?
 はあ、と千雪はいろいろと思いを巡らしながら、一つまた溜息をついた。
 
 
 
 
 地下鉄を乗り継いで乃木坂に着くと、ちょうど五時だった。
 慌てて階段を駆け上がり、歩いてすぐの瀟洒なビルについた。
 機能的でお洒落で、無関心なこういう都会の街にくると、ひとりなのに不思議と寂しさを感じない。
 みんながそれぞれ同じように動いている気がするからだ。
「こんばんは」
 二階のオフィスへ階段で上がり、ドアを押すと、工藤はまた電話で怒鳴っていた。
「いらっしゃいませ。お約束ですか?」
 ちょっとふくよかな品の良さそうな女性が千雪を見て一瞬はっと驚いたような顔をしたが、すぐにこやかに笑った。
「小林です。さきほど工藤さんからご連絡をいただいて」
「あら、まさか小林千雪先生?」
 今度は本当に驚いた顔でまじまじと千雪を見る。
「いや、先生とかいうようなシロモノではありませんが」
「まあまあ、どうぞこちらへ。少々お待ち下さいませ」
 窓際の大テーブルの方へ案内されてすぐ、電話を終えた工藤がやってきた。
「早速だが、キャスティングに目を通してもらいたい」
 工藤は俳優の名前がリストアップされたファイルを千雪の前に差し出した。


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