花のふる日は 113

back  next  top  Novels


「この子のせい? この子が今の恋人なのね!! そうなのね?!」
 えええええええっと、あまりに唐突過ぎて、千雪は心の中でしか声にならない。
 何で、そうなるねん! 何や、この女!
「そうだ。お前にはもう会うつもりはない。とっとと帰れ!」
 千雪は今度は工藤を振り返る。
 何、言い出すんや、このオッサンは!
「何でよ! ちょっときれいだからって、こんな子の何がいいのよ! こんな顔してベッドの中でそんなにいいわけ?」
 おいおい、黙って聞いたったら、この女……!
 何か言おうとした矢先、また勢いよくドアが開いた。
「芽久! 何をやってるんだ! こんなところで!」
 コートを翻しながら入ってきた中年の男。
「とっとと、連れて行ってくれ、今西。仕事の邪魔だ」
「いやよ、高広! いや!」
 またボロボロと涙をこぼしながら、しかし今度は今西という男にしっかり腕を取られ、美人は台風のようにいきなり来てまた騒々しくオフィスを出て行った。
「山ノ辺芽久さんでしょ? モデルの。よろしかったんですか? 工藤さん、可哀想にあんなに泣いて……」
 キッチンに戻りながら、鈴木さんがボソリと言った。
「ここで甘い顔をしても彼女のためになりませんからね」
「そうですの……、大変なんですね、業界って」
「何が、彼女のためや」
 ソファに座り直してプリンにスプーンを入れながら、千雪は工藤を睨みつける
「女と切れるのに人をダシにつかいよって!」
「さあ、勝手にあの女がお前を勘違いしてくれたからな。いや、案外、勘違いでもないのかな?」
「それ以上言うたら、映画降りるからな」
 工藤はフッと笑う。
「ジョークを鵜呑みにするなよ」
 バタン!
 また彼女が戻ってきたかと思いきや、入ってきたのは京助だった。


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ