花のふる日は 22

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 グラスを空にして煙草を灰皿にもみ消すと、ベッドに倒れこんだ千雪に近づいた工藤は、セーターが濡れているのに気づいた。
 手荒くセーターを脱がせ、ジーンズも剥ぎ取ってから毛布をかぶせたが、無防備に眠っている千雪は起きる気配はない。
「…フン、あの男でさえ魅入られたってのもわからないではないな」
 呟きながら工藤はまたわけのわからないイラつきに、もう一杯グラスに注いだ酒を飲み干した。
 千雪とは逆側からベッドに入ると、身体が勝手に疲労を思い出したように睡魔に襲われた。
 だが、しばらくして傍らで身じろぎする気配に工藤はふと目を覚まし、途端、「……あっ」という声とボスッと鈍い音が聞こえて、身体を起こした。
 消し忘れたスタンドの灯りで、千雪がベッドを降りてつまづいたらしいのを工藤は見て取った。
「……おい、どうした?」
 不機嫌な工藤の問いに、「……水……」という答えが返る。
 ちっと舌打ちしながら、サイドテーブルにあるグラスに用意してあった水を注ぎ、千雪の腕を掴んでベッドに引っ張り上げた。
「ほら、飲め」
 グラスを持たせると千雪はごくごくと水を飲み干し、ふうっと息をついてまた枕に倒れこむ。
「全く、慣れない酒をカパカパ飲むからだ」
 裸の肩が寒々しく、毛布をかけてやろうと工藤がその腕を引いた。
「……うるさいな……京助」
 工藤の手が止まる。
 ドクンと身体の奥で脈打つ音。
 次には千雪の身体を組み敷いていた。
 その首筋に手を這わせると、千雪は虚ろな目を開いた。
「……や……離せ!」
 近づいてきた嗅ぎ慣れない煙草の臭いに一瞬覚醒した千雪は工藤を押しのけようと抵抗する。
「男がいいんだろ? さんざ、挑発してたじゃないか」
「誰がや! 勝手に勘違いしてんな!」
 千雪はふらつく頭で暴れまくる。


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