花のふる日は 26

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    ACT 4
 
 
 何だか目を覚ましたくなかった。
 体のだるさよりも精神的にずっしり重い石でも抱えていそうな気分だった。
 こういうのを、踏んだり蹴ったり、いうわけやな………
 三田村に昔、よう言われよった。
 
「男には気ぃつけんとあかんでぇ、小林」
 
 いつも、ふざけやがってと思うとった。
 一人で何かしようとすると、決まって、
「研二、一緒やないんか?」
 研二がいないと、まるでボディガードのようについてくる。
 アホやないか、思うとった。
 千雪はため息をつく。
 実際、夕方一人の時、後をつけられて襲われかけたことがあってからは、気をつけるようになった。
 それでも、まさかという思いが千雪の中にあった。
 まさか、本気で男に襲われるなんて、と。
 そのまさかが、京助だった。
「そや、いまさらや!」
 千雪はガバッとベッドの上に起き上がる。
「宮島教授には悪いけど、やっぱ極道は極道いうこっちゃ! おまけにあのイロボケヤロウ!」
 見回したが、そのイロボケヤロウの姿はなかった。
 千雪はシャワーを使ってイロボケヤロウの気配を洗い流すと、棚につまれていたバスローブを勝手に拝借して部屋に戻り、窓に目を向けてみてようやく自分が今いる場所が東京ではないことに気づいた。
「どこやね……ここは」
 一面の雪景色、庭の向こうは林になっていて、どうやら山の中らしいと、窓から外を眺めて千雪は呟いた。
「起きなすったかい? メシ食いますか」
 いきなり後ろから声をかけられて、千雪は振り返る。


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