真夜中の恋人1

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    Act 1

 最低最悪な朝だった。
 ミステリー雑誌で始まった連載の原稿の締め切りが昨日の金曜で、小林千雪は二晩徹夜で原稿を上げ、二時間も眠れずに十時にはミーティングのため研究室に行き、午後三時頃、やっとアパートに戻って今度こそぐっすり眠れるはずだった。
 だが夜の八時には、京助の強襲を受けた。
 京助も教授の司法解剖に引っ張り出され、ここ数日忙しかったらしいが、こっちは開放感全開で、今夜は飲むぞとばかり、よく千雪を連れて行く小料理屋で食事を済ませると、次は麻布あたりのバーを二件ほどはしごして、ずっと半分夢うつつのような千雪が京助の部屋に連行された時は午前一時を過ぎていた。
 それじゃ、おやすみ、なんていうわけにいくはずもなく、「しつこいぞ、京助!」という千雪の抗議も聞く耳を持たない京助は、京都から帰って以来、タフを通り超えている。
 情けないことに、すっかり京助を覚えさせられた千雪の身体は勝手に反応してしまい、いつ意識を手放したかわからないほど、寝不足も手伝って死んだように眠っていた。
 千雪は、ここのところ京助がそれこそ四六時中でもべったりしてやるくらいなその理由が、自分が別れるとか宣言したり、工藤のことがあったせいだと思っていた。
 飲み会の夜の京助と研二とのやりとりなど知らなかった。
 京助にしてみればもちろん工藤のことも捨てては置けないし、油断のならないヤツだと思っている。
 だが、それより研二だ。


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