真夜中の恋人101

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    Act 8

 朝から雲ひとつない青空が広がっていた。
 時折、こんな日に部屋の中にいなければならない状況を嘆きたくなる。
 パソコンの画面を睨みつけながら、思わずあくびが出てしまう。
 仕方なく、缶コーヒーを買ってきた千雪は、椅子に座るとプルトップを引いた。
「随分お疲れのようだね」
 助教と話し込んでいた宮島教授に声をかけられ、千雪は苦笑してコーヒーを飲む。
 夕べは結局ファミレスで渋谷の話を聞きながら二人だけの作戦会議となり、今朝は今朝で一芝居うってきたところだった。
 何やら一芝居、というキーワードが昨日からついて回っている。
 下手くそな英語を使うよりはマシだったものの、何で俺が? という疑問も起きないではない。
 事件の方は渋谷がひとり調べまわっていたのだが、無罪を主張している被疑者真山には不利な状況が続いていた。
 老女が殺害されたと推測される夜八時から九時の間、真山は渋谷をふらついていたと証言しているが、それを証明してくれる者はなく、唯一、真山がホテル街で知ってる女を見かけたというのだが、聞き込みに出向いた刑事によると、女は真っ向から否定した。
 女は真山とは高校時代のクラスメイトだという話だが、今は上流家庭の主婦で幼稚園に通う子供がいる。
 その時間は大学の友人とその友人の家で食事をしていたというのだ。
「真山が見たと主張している女友達は頑として知らないの一点張りで。でも否定するのも当然かなと。ダンナは衆議院議員の息子で秘書なんですよ、で、次期衆院選には父親の地盤を継いで立候補予定とかで。ホテル街にいたなんてね」
「口が裂けても言わへんやろな」
「浮気相手特定するのもちょっと時間がかかりますからね」


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