真夜中の恋人104

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 動揺しているらしいのは伝わってきたので、千雪の下手くそな芝居でも食いついてくれれば、というところだった。
 その様子を伺っていた渋谷は、手ごたえありと課長に伝え、応援を頼んで田辺の婚約者松山まどかをマークさせて自分は田辺に張りつくと、千雪に連絡してきた。
 うまく食いついて何らかの行動を起こしてくれればええけどな。
 缶コーヒーの残りを飲み干すと、千雪はパソコンのキーを叩く。
 雑誌の原稿は何とか上がって送ったのだが、レポートがちんたらして進まない。
 それでも午後の講義があるので帰るわけにもいかず、キーを叩いているうちに二限目終了のチャイムが鳴った。
 昼か。
 カフェテリアあたりをうろついていると、速水と顔を合わせる可能性があるし、何となくそのことを考えるだけで面倒でうっとおしい。
 午後の授業が始まる前に、パンでも買ってくればいいか、などと考えていたところへ、「千雪先輩、いてはる?」とまたウザい男の声がした。
「いてないで」
 佐久間は遠慮なくたったか千雪のデスクまでやってくる。
「何が、いてないや」
「うるさいな、俺はレポートで忙しいんや」
 佐久間は背後から画面を覗き込みながら、小声になる。
「お客さんでっせ。廊下で待ったはる。先輩、また何ぞあったんちゃいますやろな?」
「はあ?」
「スーツのお客さん、見ない顔やけど、また刑事やないですか?」
 


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