真夜中の恋人110

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 お陰でしっかり目が覚めてしまい、今度は空腹なのを思い出した。
「何か買ってこよ」
 財布を持って玄関に向かおうとした時、チャイムが鳴った。
「俺だ」
 そういえば、京助が今夜来るとか言っていたな、とドアを開けると、「メシ、食ったか?」と京助は聞いてくる。
「これからやけど」
「食いに行くぞ。着替えろよ」
 相変わらず命令口調で、京助は見下ろした。
「めんどいな……」
「俺もまだなんだよ」
 仕方なく千雪はジャージを脱いで、椅子にかけてあったジーンズを履き、Tシャツの上にジャケットを羽織る。
 アパートの門の前には築二十年ほどの古アパートには不似合いな黒のポルシェが停めてあった。
 京助は大学の近くに車を置いた方が使い勝手がいいと、わざわざ近くに駐車場を借りている。
 車を出す前に、携帯で店に予約を入れると、すぐにエンジンをかけた。
「どこ行くんや?」
 首都高を三軒茶屋で降りて世田谷通りに入ったあたりで、千雪は訪ねた。
「うるさくねぇとこなら、いいだろ?」
 車はそのまま住宅街へと入り、やがて樹木の間に大きな門構えが見えたと思うと、古風な造りの洋風建築に灯りが灯っている。
 車をパーキングにいれて中に入ると、すぐに奥の個室に案内された。
「ほんまに静かやな」


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