真夜中の恋人118

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 軽い記憶喪失のように、さっきから頭の中が真っ白のままだ。
 やから、何て言うた? 京助は…………
 少しずつ、頭の中のもやが晴れていく。

 最後の晩餐ってやつにしたいんだろ? お前は。

 そう、言ったんや………
 それはあまりにもさり気なく京助の口から出た言葉で、意外過ぎて聞き違いかと思ったほどだ。
 散々、千雪が終わりにしようと言っていたわけだから、それに対して京助が肯定したところで、何もおかしいことはないのだ。
 それなのに千雪自身は、京助の口から肯定の言葉が出てくることを予定していなかった。
 常に全面的にごり押しに近いやり方で千雪を連れまわし、世話を焼き、そして有無を言わせず抱いた。
 
 俺はかなりメンドくさい男だからな。おまけに執念深いストーカーだ。
 俺に見込まれたのが運のつきとでも思っておけ。
 
 臆面もなく傲岸不遜に言ってのける京助から、こうもあっさりと最後の引導を渡されるとは、思っていなかった。
 いや、引導渡したんは俺か。
 ああ、せや、ほんまのほんまに、これで、終わり言うこっちゃ………
 千雪は風呂の淵に両腕を載せ、その上に顎を乗せた。
 好きになり過ぎる前でよかったし………
 


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