真夜中の恋人12

back  next  top  Novels


    Act 2

 何でこうなるんや!
 千雪は心の中で喚いてから、立ってビールを継ぎにまわったりして、あちこちに愛想を振りまいている佐久間を睨みつける。
 御茶ノ水にあるこの居酒屋は、多くの学生で溢れる中、この店の店長が佐久間の高校の先輩だというので、割と急だったにもかかわらず総勢二十名ほどをキープできたらしい。
 小テーブルには宮島教授と千雪、それに法医学研究室の準教授の伊藤と心理学教室の関谷教授が座り、あと全員が陣取った傍の大テーブルは大原文子と牧村久美を中心に大いに盛り上がっている。
 千雪は始めから来るつもりはなかったのだ。
「今夜、法医学研究室と心理学研究室と一緒に飲み会だってね。あまりそんな機会はないから、みんな張り切ってるよ。君も行くよね?」
 宮島教授がそう切り出したりしなければ。
「いや…………、俺なんか行っても、あまり歓迎されへんと思いますし……」
「そんなことあるもんかね。法医研の牧村くんや佐久間くんから、ぜひ君を連れてきて欲しいって頼まれちゃってね」
 佐久間のやろおぉ!!!!
 教授から手を回させるなんて姑息なことをしやがって、と思ったものの、宮島教授の誘いを無下に断ることもできない。
 仕方なく、適当なところで切り上げようと思いつつ、教授についてきたわけである。
 確かに、大学に進学してからは苦心したこの眼鏡やボサボサ頭、それにダサダサの風貌のせいで、ごく普通の大学生ならあたりまえのコンパや飲み会などに誘われることもなく、今まで過ごしてしまったが、千雪としてはそんなことはどうでもよかった。
「千雪先輩、飲みが足りてまへんで!」


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ